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ウィンブルドンのトロフィーを見て自分の名前がそこになかった時、『どうなってんだ?』と思った。
あの唯一無二の歴史あるトロフィーをセンターコートで持つことは信じられない気分だったが、過去のチャンピオンの名前を眺めていた時、自分の名前を見つけることができなかった。
後になって、年月とともにスペースがなくなり、僕の名前は台座にあることが分かった。だから、僕がトロフィーを渡された時は自分の名前を見つける事はできなかったが、家にあるトロフィーにはちゃんとある。
チャンピオンズ・ディナーの後は1時間半しか眠れなかったが、翌朝階下に降りて、レプリカのトロフィーを横に置いて朝食を食べるのはかなりシュールだった。
大会全体に長い歴史があり、若い時や成長過程ではその全ては理解していなかった。ウィンブルドンで優勝したいとは思っていたが、長年に渡りここで起きたことの全てについて実感はしていなかった。
センターコートに向かう時、壁に掛けてある1920年からの全ての優勝者の写真を見る。一つ一つの試合の事を思い起こさせられることは、かなりプレッシャーだった。今自分がそれに加わることを考えると、かなり素晴らしい。
大会のちょうど前の週、ウィンブルドン博物館について僕のチームと話していて、彼らは僕をそこに連れて行ってくれると言った。とても良いと聞いたので行ってみるつもりだ。
僕はフレッド・ペリー像に並んでトロフィーと一緒にポーズをとったが、彼はテニス史で重要な存在なので特別な瞬間だったし、彼については僕のキャリアを通して人から聞かされてきた。
彼が素晴らしい選手だったことは明らかだが、語り尽くされた感があるし、次のチャンピオンが生まれるまで長く待ち過ぎることがないよう祈るばかりだ。
決勝は僕にとって、これから先もおそらく精神的に最も厳しい試合であり続けるだろう。特に最後のゲームは。
サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップの前のエンドチェンジでは大丈夫だった。ただ『最初のポイントのファーストサーブだ』と考えていた。自分のサーブで最初のポイントを取ることがどれほど重要か、僕は知っている。だから、それだけに集中していた。
40-30の後ナーバスになり始めて、ノバク(・ジョコビッチ)がブレークポイントを握った時、パニックになった。もしもあのゲームを落としていたら、僕は挽回できていたかどうか分からないことを認めざるを得ない。
切り抜けたことでホッとしたし、この先あれほどのプレッシャーを感じることがあるかどうか想像もつかない。
去年全米で優勝した後、自分の肩から荷が下りていくのを感じ始めた。次の数大会ではもっとリラックスしていたし、練習では心が乱れることはなかった。いくつかミスをしても大丈夫だった。
今回も同じだろうし、これから何度もそういう機会を持てたらいいと思う。
僕がウィンブルドンに出始めてから僕にとって多くの変化があって、期待と関心は当然大きくなる一方だった。
それに上手く対処できなくても不思議ではないし、僕がもっと若かった時は時々頭にくることもあったかもしれない。あの頃僕はまだ子供で、そういう事に対応するには多分十分に成熟していなかった。
自分の知らない人が自分を批判していたり、それが自分の家族や周りにいる人々にまで及べば、本当に心がかき乱される。
自分を疑い始める――僕は正しい人間と一緒にいるのか?ここでトレーニングしていて大丈夫なのか?選んだコーチは正しいのか?簡単じゃない。今喜ばしいのは、僕のキャリアが終わるまで今のチームと一緒にいられたらいいなと思える事だ。
一つ僕がかなり若い頃から理解していたのは、家族がどれほど大切かという事だ。35、40歳の人と一緒に仕事をしていると、彼らは自分の家族と年に40週も離れて暮らしたくはないものだ。
マーク・ペッチーと組んでいた時、僕は彼と上手くやっていた。彼は素晴らしい人物で、今も良い関係だ。僕がロンドンにいる時は彼の家族と一緒に過ごしたし、いつも一緒に移動した。でも9ヵ月後、僕たちは一緒にいすぎて、彼は家族と一緒にいたがった。
僕はその時、一緒に働く人間が子供を持ち始めると、40週も旅に出たがらないことを知った。最初は僕がチームを持つことを人は不思議がったが、僕には道理がかなっていたし、今では多くの他の選手が同じ事をしている。
一緒にもう何回かグランドスラムで優勝できればいいと思う。数は決めないけど。
もしもNo.1になれたら素晴らしいが、今は二つグランドスラム優勝がある。もう一つでは決勝に進めたし、オリンピックの金メダルもあって、No.1の地位にはほど遠い。僕は大きなタイトルを獲ることに集中することにする。ランキングは後から付いてくるだろう。
今から楽しみにしている事の一つは、来年のウィンブルドン最初の月曜日、チャンピオンとしてセンターコートに戻って来ることだ。その体験がどんなものになるか想像もできない。
大きなプレッシャーと緊張があるだろうけど、ここ数年のものほど酷くはならないと思う。
観客は日曜に匹敵する雰囲気を再現してくれるだろうし、あれは僕にとって今までのウィンブルドンで最高の経験だった。 僕はそれが助けになったと大会を通して言い続けてきたし、みんなの素晴らしいサポートに改めてお礼を言わなければならない。
来年もまた同じことができたらいいと思う――でも、その前にみんな少し休んでからね!
BBC Sport - Andy Murray column: I can't wait to walk out as Wimbledon champion
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1時間半しか眠れず迎えた月曜の朝、取材に応えるマレーを追ったビデオ。最後に渡されているのは決勝で使ったボール。
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朝のテレビの生出演の一つで、女性のインタビュアーから「あなたの次のチャレンジは何かしらと思って。全米、オリンピック、そしてウィンブルドン。もしかしてプロポーズ?」の質問。これに対しマレーの答えは、
「僕は君に10分前に会ったばかりだから、最初に君には言わない」
Andy Murray Dodges Kim Sears Engagement Question During Holly Willoughby Interview | Marie Claire
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午後4時過ぎ英首相官邸へ到着した際は、既に疲れ果てているように見えるマレー。キャメロン首相他政治家の皆様と歓談。
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夜、お気に入りのレストラン「NOBU」で恋人のキムさんと食事を楽しんだ後、サインを求める男性が持った大会プログラムがマレーの左目を直撃するアクシデント。後に、男性は有名人のサインをeBayで売ることを生業とする人物であることが判明したとか。
Andy Murray hit in the face with programme - story of the autograph hunter | Mail Online
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マレーのスポンサー企業の一つであるロイヤルバンク・オブ・スコットランドは、マレーの故郷のダンブレーン支店に彼の胸像のケーキを置いて祝意。
We are celebrating a decade of supporting @andy_murray with a cake of him at our Dunblane Branch! pic.twitter.com/WRyb51ZDrp
— RBS Group (@RBSGroup) July 8, 2013
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英ガーディアン紙による、レゴで振り返るウィンブルドン男子決勝がかわいらしい。
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