錦織くんバルセロナ優勝後の今となっては一層今さら感がつのりますが、今年の全豪の個人的クライマックス、錦織対ナダル戦の感想です。
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午後3時半。待ちに待ったこの時がついに来た。錦織くんの4Rの相手は世界No.1のラファエル・ナダル!
来たよ!
錦織くんとナダルの試合を会場で観戦……今まさに至福の時。
錦織くんがロッド・レーバー・アリーナに入ったのは、今回が三回目。一昨年の準々決勝 vsマレー戦は体力的に限界、昨年の4R vsフェレール戦では膝を故障と、いずれも万全からはほど遠い状態だった。今年は試合時間を短めに勝ち上がってこれたことで、最も良い状態でセンターコートに入れたんじゃなかろうか。
ナダルは膝の故障から復帰した昨年、全仏、全米をはじめとする10大会で優勝。今大会も優勝の大本命だ。ヒューイットが以前話していたように、ウォームアップから強めに打っているんだろうか。素人目にはよく分からない。
錦織くんは第1ゲームでいきなりブレークこそ許したが、その後は徐々に錦織くんらしいウィナーが見られ始めた。第4ゲームでブレークバック。第7ゲームは0-40から6ポイント連続で取りキープ。
錦織くんは世界最強のナダルを相手にかなり良い勝負をしているのだが、「ここを取れば大きい」というポイントでナダルは悉くセンターに強烈なサーブを決めてきて、その度に「うあー」と声が出た。他の相手なら決まっているだろう鋭いショットも返してくるし、大多数の選手と異なり終始高いテンションを維持している。ナダルが尋常じゃなく強い選手であることはとうの昔から知っていたとは言え、やっぱりすごいな。これぞ世界No.1だ。
第1セットのタイブレーク1-1、ナダルのサーブでタイムバイオレーションの警告があった。この試合の主審はエバ・アスデラキさん。2011年全米シングルス女子決勝でセリーナに妨害行為の警告を与え、怒り収まらぬセリーナから
”You’re ugly on the inside(内面が醜い)”
との言葉を投げつけられたことで一躍有名になった人だ。ところで豪テレビの中継時の発表によると、ナダルがこの試合のサービスゲームでポイント間にかけた時間は平均26秒だった。アスデラキさんがより厳格にルールを適用してくれていたら、もう少し錦織くんに有利に傾いていたかも?
第2セットは第5ゲームで先にブレーク成功するも、第8ゲームでナダルがブレークバック。
主審に「靴紐が切れたので取りに行く」と説明している時のナダル。
第2セットは第12ゲームでナダルがブレークに成功して7ー5。錦織くんは2セットダウンとなり後がなくなったが、最初の2セットはそれぞれ1時間を超えた。相当いい線を行っているに違いないのに、あと少しが取り切れない。
第3セット。あれほど隙がなかったナダルの動きが若干鈍くなったように見えてきた。もしかして疲れた?やっと疲れてくれた?ナダルもやはり人の子なのか!しかし、先にブレークしたのはナダル。うむむ、いよいよ厳しくなってきた。
第7ゲーム、最後はナダルのダブルフォルトで錦織くんがブレーク。第9ゲームでさらにブレークして錦織くんの5-4となり、ついにこの試合初めてのサービング・フォー・ザ・セットを迎えた。ついに来た大チャンス!周りのお客さんからは急に
「ニシコリー!」
の声が増え始めた。皆さんまだまだ試合を楽しみたいんですね。時刻は間もなく7時。外で待ちぼうけをくらっているナイトセッションのお客さんには気の毒だが、私ももっと見たい!……まあ、第10ゲームは皆さんご存じの通りちょっと悲しい終わり方になってしまったけれど……それでもすぐに気を取り直して、次のサービスゲームをキープしてタイブレークに持ち込めたのは良かった。
タイブレークは7-3でナダルが取りゲームセット。錦織くんは試合後、カメラが待ち構える通常の出入り口とは反対側から姿を消した。あちらから出て行った人は初めて見たな。
錦織くんは良いプレーをしたにもかかわらず敗れたことで悔しい思いをしたに違いないが、観客としては不思議な充実感があった。そして、この記事を書くに当たり改めて試合のビデオを二度見返したが、何度見ても結果以外は面白い。錦織くんのプレーはかなり良かった。悪かった点があるとしたら、相手だけ!
いつかきっと錦織くんはナダルにだって勝てる日が来る――そう素直に信じられる試合だった。
Men's Singles - Round 4
Rafael Nadal (ESP) [1] def. 錦織圭 [16]
7-6(3) 7-5 7-6(3)
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