マトセビッチ vs フィーニーが終了したので、6番コートのピーター・ルチャック vs マシュー・エブデンに戻る。観客席の足場には、今日一日の雨との激闘を物語るタオルがずらり。
第2セットはルチャックが取り返してセットオール。第3セットに突入したところだった。観客席では、ルチャックの奥さんや子供たちが試合を見守っている。と言っても、4歳のセバスチャンくんと1歳半のミリーちゃんは大人しくしているのがやっとで、コートの中にはあまり関心を示していないようだが。
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エブデンを初めて見たのは、マトセビッチと対戦していた昨年2月のチャレンジャーで、二人の実力は一見遜色ないもののエブデンは大人しすぎて、訳の分からない勢いで全てをマトセビッチに持って行かれたという感じだった。そんなエブデンも当時の321位から現在は196位と、マトセビッチにはやや遅れをとりつつも(年はエブデンが2つ下で23歳)着実にランク上昇中。
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面白いのは、エブデンはAIS(The Australian Institute of Sport)の出身者としては現在最高位にあること。AISとは将来のスポーツエリート候補生を集め育成している豪の政府機関で、テニスでは16歳以上の選手を対象に、ジュニアから大人の大会への転向を助けるプログラムを展開。しかし、注ぎ込まれた金額にもかかわらずここまでさっぱり結果が出ていないため、その存在価値を疑問視する声が日に日に大きくなりつつある模様。
マトセビッチはいわゆるエリート街道とは無縁の道を歩んできた選手。つい最近まで彼のメイン・スポンサーはご両親だったとか。2年前のワイルドカード・プレーオフでは出場選手間で「AIS vs それ以外」という対立構図ができた中、マトセビッチはAISの選手を4、5人連続で倒し、カースティン・ボールにも勝利。マトセビッチは安堵のあまり試合直後、テニス・オーストラリアに関して何か叫んだという話も(本人は内容を「覚えていない」と主張)。
Matosevic is a real wild card
それにしても、AISはお金をかけさえすれば何事もうまく行くというものではない、という好例?人間も植物と同じで、個々の素材が必要とする環境の見極めが大切なのかも。
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試合は、エブデンの6-5で迎えた第12ゲーム、エブデンが先にマッチポイント!ついに下克上の時が!?父親の窮地に気づいているのかいないのか、その頃セバスチャンくんはすっかり試合に飽きていて、観客席外の通路でアスファルトと砂利の境目を真っ直ぐに歩く遊びに熱中。ルチャックは何とか凌ぎデュースに持ち込むも、その後も度々アドバンテージを握られる厳しい展開。セバスチャンくんは、今後は客席の足場の下の暗がりの探検に熱中。ルチャックは家族の方をチラチラ見ている風はないのだが、自分の子供たちが全く見ていないことには気がついているらしく、このゲームは珍しくジャッジにゴネてみせたり、なかなかサーブを打たず警告を受けるなどグダグダ。そのうちルチャックの奥さんか身内の誰だか分からないけれど、若い女性がセバスチャンくんにコートを見るよう促し、彼が素直に従うとようやくルチャックがキープしたのだった。何て分かりやすい人なのか。
続くタイブレークも一進一退の展開だったが、経験の差が生きたのかルチャックが何とか逃げ切った。エブデンは成り上がるチャンスを逃してしまった?ヒューイット、ルチャックがキャリアの晩年を迎えた今、早く若い選手が出てきてくれないことには二人ともおちおち引退できないことだろう。エリートでもそうでない人でもどっちでもいいから。
AO Men's Wildcard Playoff 2011 - Main Draw
Peter Luczak [1] - Matthew Ebden [4]
2-6 6-1 7-6(5)
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