零下50℃の世界ではバナナで釘が打てるというが(古い)、摂氏45℃前後の世界では何が起こるのか?
メルボルンではこの日から3日間連続で40℃を超える最高気温が予想されている。実のところ、現在の自宅はこんな日でも窓を閉め切ってさえいれば冷房すら不要で、室内に留まる限り何も問題はないのだが、メルボルン・パークでは今日もいろいろ気になる試合が入っている。後々話のネタにもなるだろう、と無謀にも外出を決意。
うちから最寄駅までの距離は大したことはないが、問題は着いた先の駅から会場まで徒歩12、3分の距離。改札を抜けると、上空に遮るものが何もないアスファルトの歩道の上はかなりの温度になっているのが見た目に分かる。ギラギラした直射日光の世界へ勇気を出していざ一歩。
最初の数分は良かったが、次第に今までの暑い日とは一段違う暑さ、というか熱さで全身が覆われた。至近距離からドライヤーの「ソフト」の温風を全方位から浴びている感じ、とでも言おうか。息もろくに吸えない。やがて意識が朦朧とし始めた。
「・・・心頭滅却すれば火もまた涼し・・・」
とか唱えつつ残りの距離を無理矢理やり過ごす。
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ユキ・バンブリくん。今大会は第1シードで見事優勝。将来はインドテニス界を背負って立つと大きな期待を寄せられている男の子だ。
それにしてもバンブリくんの何がすごいって、60℃近くに達していると思われるコート上にいながらちっとも暑そうじゃないのがすごい!リストバンドで額を拭う仕草を見せることから一応汗はかいているようだが、ストロークで常にピンと伸びた背筋が崩れることがない。相手の子はミスをするといちいちその場に座り込んでしまうくらいヘロヘロだというのに!
Junior Boys' Singles - 3rd Round
Yuki Bhambri(IND)[1] def. Dino Marcan(CRO)[13]
6-3 6-1
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同じコートで始まった内山くんの試合。北海道生まれの彼にはこの暑さはさぞかし堪えるだろうに。
それでもこの日も勝負どころで強さを見せる内山くん。第1セットをタイブレークを制して先取すると、続く第2セットでも早々に相手のサービスをブレークしてしまった。ちょっとちょっと強すぎるんじゃないの?やはり相当ヤバいものを目撃しているような気がして今日も動悸が収まらない。
客席で体をひねると、同時進行中の井上雅ちゃんの試合のスコアボードが見える。途中妙に長い時間スコアが動かなかった後ゲームが再開している。あちらも何やらもつれているようだ。応援に行きたいのはやまやまなのだが、一度この椅子を立つと最早腰を下ろせる席がなくなる(離れた間にとんでもない熱さになる)ことを考えると下手に移動できない。
順調だった第2セットで流れが変わったのは、WOWOWのレビューによると第6ゲーム。何度目のデュースの後か忘れたが、内山くんにブレークポイントが来た。これを取れば内山くんの5-1というポイントで、ベッカーのサービス(1stか2ndかは失念)はコーナーギリギリに。私の位置からは少しサイドに外れたように見えたが、線審のコールは無常にも「イン」。内山くんもフォルトと信じていたようで、しばし
「えー?・・・だって今の・・・え~~~・・・?」
という感じで呆然。・・・あっ、なんかこの内山くんには見覚えがあるかも・・・。主審も線審のコールを認め再びデュース。結局そのゲームはキープされてしまった。
ところで、さっきから頭が熱くてたまらない。それまで帽子の上に羽織ものをかぶって紫外線を避けていたのだが、羽織もの自体が熱くなりその重みで頭頂部がジリジリし始めた。たまらず羽織ものを持ち上げて空間を作る。雅ちゃんのスコアを見るために首をひねればその度に軽い眩暈。これはいよいよヤバいかも・・・。
問題の第6ゲームをキープした後、相手のベッカーくんはすっかりリズムを取り戻してしまったようだ。この熱さの中にあってこの粘りには驚いた。敵ながら天晴れ。ボリス、ベンジャミンに続きこのリヒャルトくんが「ドイツのベッカー3号」として認識される日も遠くはないかもしれない。ゲームはついに1セットオールに。分かった!君もすごいのはよく分かったから!もう限界!!
主審がマイクをセットし始めた。来たッ!!主審!お願いだから言ってよ!あの言葉を!
"Ladies and gentlemen, ・・・・・heat policy・・・・・"
言った!今確かに「ヒートポリシー」って聞こえた!!やっとの思いでロッド・レーバー・アリーナまで移動。しばらく休んで体を冷やした後帰路に就いた。
夜になって、残りの1セットはハイセンス・アリーナに移動して行われたことを知った。内山くん、負けちゃったのね。いや、どっちもよくやったよ、本当に。
Junior Boys' Singles - 3rd Round
Richard Becker(GER) def. Yasutaka Uchiyama(JPN)
6-7(8) 6-4 6-3
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