メルボルン・チャレンジャー最終日の日曜は、朝から晴れ間の見えるいい天気。
10時から始まったダブルス決勝は見逃したが、シングルス決勝はぎりぎり間に合った。今日も寒くなるのを予想して厚着をして来たら、思いの外暑い。ほとんどの選手がいなくなった今頃暖かくなって……間が悪い事だ。
今年初めての決勝進出を果たした伊藤竜馬選手。週の前半は雨ばかりですっかりしらけていたが、竜馬選手が決勝まで勝ち残ってくれたおかげで、後半は最終日まで存分に楽しませてもらうことになった。もう最高。ところで、私が陣取ろうとした場所の前にいたお姉さん方は、エブデンの奥様とそのお連れ様だったようだ。別の場所を探さないと。
エブデンはこの1ヶ月でこれがチャレンジャー3回目の決勝進出で、前の二回は準優勝。全豪では昨年2Rで錦織くんに、今年は1Rでユーズニーにそれぞれ2セットリードから逆転負けと残念な結果に終わっている。母国で今度こそいい結果を残して欲しい気持ちもあるが、個人的にはここはやはり竜馬の優勝を願わずにいられない。
第1セットは竜馬選手が先にミスをする場面が目立ち、6-3でエブデン。第2セットも序盤にブレークを許し、エブデンの4-1。これは今日は厳しいな。でも、考えてみれば昨日の準決勝(vs ダックワース戦)も大変な試合だったし、ようやくテニス日和にも恵まれて、全豪の時よりいい気候の中で試合をしてもらえて良かった――と勝手に締めの感想に入っていたのも束の間、続く第6ゲーム竜馬選手のサービスゲームではエブデンからやる気が感じられず、ほぼサーブ4本であっさりラブゲームキープ。おや、エブデンはそんな錦織くんのような真似をして大丈夫かな。気を抜くには少し早いのでは？まだまだリターンでプレッシャーをかけていかないと。エブデンはおそらく先行して逃げ切りたいタイプ。試合開始からここまで集中していて、一休みしたくなったのかもしれない。この油断が吉と出るか凶と出るか。
続く第7ゲーム、案の定流れは竜馬選手に。やはり誰もが錦織くんのような真似をしていいわけではなさそうだ。竜馬選手はこのゲームをブレークして4-3。まだまだ予断を許さない状況には変わりないのだが、どうも竜馬選手はこの際どい展開を楽しんでいるような節すら見受けられる。おい、君はどうしてそんなに余裕があるのか。私は見ているだけで辛いのに。気持ちの良いウィナーも決まり始めた竜馬選手は第11ゲームでさらにブレークに成功、7-5で取りセットオール。これはよく取り返したな。すごいわ。
そしてファイナルセット。序盤に竜馬選手が先にミスをしてしまうポイントが目立ち、第2ゲームでブレークされてエブデンの2-0。それでも、もしもう一度エブデンを精神的に追い詰めることができれば、チャンスは十分ある。紳士なエブデンは、決して瀬戸際に強い方ではないのだから！(失礼)
エブデンの5-3で迎えた第9ゲームは、サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップ。エブデンは30-0としながら、竜馬選手が3ポイント連続で取り返して30-40。ブレークポイントを握ったのは、竜馬選手のフォアがコードボールとなり跳ねて軌道が変わったラッキーなポイント。まだツキには見放されていないかと思われたが、後一歩及ばず。エブデンが逃げ切った。
表彰式は準優勝の竜馬選手からスピーチ。スタッフ等に一通り感謝の意を表した後、最後エブデンに向かい
“We will keep improving next year.”
と声をかけた。いいスピーチだ！準優勝おめでとう！エブデンも自分のスピーチの中でこの言葉を引用して、「竜馬が話したようにしていきたい」とコメント。エブデンはこの優勝で98位にアップ、一年以上ぶりにトップ100復帰を果たした。
竜馬選手は翌週、メルボルンから東へ160kmの町トララルゴンでチャレンジャーに出場。週末まで日本勢が一人でも残れば足を伸ばす予定にしていたが、竜馬選手と佐藤文平選手は二人とも金曜の準々決勝でいずれもフルセットで敗退となり、計画は頓挫した。うーん残念。来年の全豪を楽しみに待つとしよう。
そして、今週は全日本。世界を相手に戦おうという選手がポイントが付かない大会に出るのは無駄と言われればその通りなのだが、今年は賞金が増えたこともありトップ勢が多く出場しているので、どうせなら熱戦を期待したい。高校生ペアが第1シードを破った男子ダブルスのような派手な下克上も大歓迎。
Men’s Singles – Final
Matthew Ebden (AUS) [1] def. 伊藤竜馬 [6]
6-3 5-7 6-3
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