Tuesday, 11 September 2018

大坂なおみ選手 グランドスラム初優勝おめでとう!!

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いやはや、なおみちゃんのインディアンウェルズ優勝の衝撃からたったの半年でグランドスラム初制覇まで果たすとは予想だにしませんでした。そして決勝であんな騒ぎが起こることも……いや、セリーナが全米でやらかした09年のあれ(コメント欄が傑作)や11年のこれ(名言「アグリーインサイド」誕生)を知る人なら十分予測できたかな?

***

以下は、なおみちゃんの試合後インタビューです。多くのニュースサイトに掲載されているものはところどころ端折っているようなので、間投詞(例「うーん」)もそのままにしています。セリーナとの試合後のハグについてと会見最後にお酒について答える場面は、是非動画で確認してほしい!





Q. この試合について、自分をどのように誇りに思いますか?

大坂なおみ: 試合を通じて自分のサービスが重要だったと思います。彼女は非常に良いリターナーで、今日は良いサーブを入れ続けなければならないと本当に感じました。

Q. 騒ぎが起こって、セリーナが主審に向かって叫んだ時のあなたの反応は?集中し続けるのはどのように大変でしたか?

大坂なおみ: えー、私は何も聞きませんでした、私は向こうを向いていたので。だから、その瞬間に何かが起こっているなんて本当に知らなかったんです。

Q. あなたがUSオープンのチャンピオンだなんて、どこか不思議な感じがしますか?

大坂なおみ: えーと、そうですね、つまり、今は現実感があまりないです。たぶん数日たてば、自分のやった事が分かると思います。 今の時点では、どうでしょうね、分かりません。ここにたくさんのプレスがいることを除けば、他の大会と同じように感じます。

Q. 起こったことで、あなたの喜びの瞬間を邪魔されたと感じますか?それとも、この騒ぎの全てをただ無視できますか?授与セレモニーの際にあなたは感情的になっていたように見えました。

大坂なおみ: えー、そうですね、たくさんの感情があったように感じます。だから、どの感情がどれに該当するのか、仕分けをしなければなりませんでした。

Q. あなたは向こうを向いていたとの事ですが、セリーナが主審に向かって噛みついているのを気付かなかったはずはないです。その瞬間あなたは何を考えていましたか?コーチングについて、ラケットを壊すことについて、主審に歯向かうことについて、そういったルールについてあなたはセリーナと同じように考えますか?

大坂なおみ: ええと、つまり、観衆がすごく騒がしかったので、私は本当に何も聞かなかったんです。そこで起こっていることは全然聞いていなかった。 そして振り向いたら、うーん、5-3になっていて、だからその時私は少し困惑したんです。でも私にとっては、この試合中は本当に集中しなければならないと感じていました。なぜなら彼女は偉大なチャンピオンで、どこからでも挽回することができることを知っているからです。 あの時は、ただ自分に集中しようとしていました。

Q. 試合中のあなたのご両親について、あなたが話した事に少し補足していただけますか?あなたのお父さんは会場には来るけど、試合は観ないのですか?それはおまじない?それとも緊張?試合中お父さんは何をしているのですか?

大坂なおみ: 私たち本当に知らないんです(微笑)。私の試合中は彼にGoPro(携帯用小型カメラ)でも付けるべきだといつも思っていました。 多分私の試合が父にストレスを与えるとかの理由で、長めの散歩でもしてるのかも。でも、父はインディアン・ウェルズから、もう昔から会場にはいつも来るし、私の練習とかはいつも見るけど、ボックスに座ったりとかは全くしたことがありません。

Q. 私が思うに、あなたは入場の際に一度観衆を認識し、その後はすごく集中していました。観衆全てを視界から外すことはあなたにとってどのように重要でしたか?例えば大画面に映し出される人々とか。初めてのグランドスラム決勝で、あなたはどのようにそれを成し得たんですか?

大坂なおみ: 初めてのグランドスラム決勝だったから出来たんだと思います。緊張やその他の要素で自分が飲まれないようにするべき、そしてテニスをプレーすることに集中するべきだと感じていました。なぜなら、そうする事で私はここに到達したので。 だから、そうですね、思ったのは、コート外で何が起ころうと、私にとってはコートに立てばテニスが全てだと。

Q. 全米チャンピオンになった体験を真に要約する1つの言葉か表現はありますか?

大坂なおみ: えーと、たぶん、「違う心構え」。この大会に来るのに私にはたくさんの事が起こりました。で、今私はプレーする時にただ楽しんでいます。だから、これからはいつもこういう風にやれる、やっていきたいと思います。

Q. 少し前に(コーチの)サーシャがインタビューに応えました。彼は、あなたに一つ言いたい事は何かと聞かれました。彼は、一緒にこの体験をさせてくれて感謝したいと言っていました。彼との関係を話してくれますか、彼を選んだ理由は?

大坂なおみ: 私が彼を選んだのは、最初の練習開始後5分以内に足首を捻ったから。それで私は、「そうね、この人だわ。彼はやってくれるはず」って(笑)。

いいえ、私が言いたいのは、彼に会えば、彼がとても良い人だって分かります。それに彼はとてもポジティブで陽気。私にとってそれはとても重要なんだと思います。私はよく自分を責めがちなので。それが彼を選んだ主な理由の一つです。

Q. セリーナはあなたにとって長い間ずっとアイドルだったとの事ですが、今日決勝で起きた事、彼女のコート上での振る舞い、これらはあなたが持っていた彼女のイメージを変えますか?

大坂なおみ: 私が言えるのは、コート上で何が起こったのか知らないということです。だから私がこれからも記憶し続けるのは、私が愛しているセリーナです。私にとっては何も変わりません。彼女は私にとても優しくしてくれました。ネット越しでも、表彰台の上でも。何か変わるなんて全然思いません。

Q. この(全米優勝という)夢を叶えた後、次の夢は何ですか?

大坂なおみ: そうですね、次は東京へ行くので、そこの大会で優勝することです(微笑)。 一歩一歩進もうと思います。遠い先を見すぎないようにします。

Q. マッチポイントで、何を考えていましたか?派手な喜び方もなく、静かにネットに歩いていきました。あなた自身の反応はどうでしたか?

大坂なおみ: えー、そうですね、考えていたのは……さあ?まず大袈裟に喜ぶのは自分のキャラではないので。まだあまり現実感がありませんでした。だから、私にとって普通の試合と同じように感じていて、同じようにネットに歩いて行きました。でもそこにいたのはセリーナでした。ハグしてくれて、本当に最高でした(微笑)。

Q. あなたの名字はオオサカです。あなたは大阪生まれです。あなたのお父さんはハイチ人です。あなたの名字が生まれた都市名なのはなぜ?お父さんの名字のはずでは?

大坂なおみ: いいですか?2014年のジョークを再利用しますよ。 オオサカで生まれた人の名字は、すべからくオオサカである。イエーイ(笑)。

Q. それ本当?

大坂なおみ: いいえ(笑)。 いいえ、でも母の名字がオオサカで、母方の家がそうです。

Q. 自分がやろうとしてそれを成し遂げたことについて、なぜあなたは謝罪しなければならないと感じたのですか?

大坂なおみ: あなたの質問は、私を感情的にさせますね(涙)。 そうですね、なぜなら、彼女が24回目のグランドスラム優勝を心底望んでいたことを、私は知っているんですよ?みんなが知ってます。CMでもやっていたし、どこでもその話が出ていました。で、私はコートに入ると別人になったように感じるんですよね?セリーナのファンじゃないんです。ただのテニス選手として、もう一人のテニス選手とプレーするんです。 でも、ネットで彼女とハグをした時(涙)… えーと、ネットで彼女とハグをした時、自分が幼い少女に戻った気がしたんです。

Q. 次は東京へ行くとの事ですが、そこでの反響に対して準備は出来ていますか?

大坂なおみ: その事をずっと聞かれるところを見ると、まだ出来てないみたい。

Q. 賞金は巨額です。私たちに分けてもらえるとみんな喜ぶと思いますが、どうする予定ですか?これを成し遂げた自分自身に特別なプレゼントやご褒美は?

大坂なおみ: うーん、私は自分にお金をかけるタイプではありません。私にとっては、私の家族がハッピーなら私もハッピーです。私の姉に会う時――彼女も東京へ行くので――それが私への最大の贈り物です。

Q. 自分を責めがちだとの事ですが、この結果でご自身への見方が変わると思いますか?これによって、もしかしたらもう少し自信がつくかもしれないと思いますか?

大坂なおみ: えーと、そうですね、確かにそう思います。グランドスラムで優勝しておいて自信がないなんてありえないでしょう。 でも、それは私が今持っている考え方ではありません。私は、ただ全ての試合を楽しみたいんです、テニスはスポーツなんだから。でも、私たちプロのテニス選手たちは、時にこのことを忘れてしまいますから…。

Q. あなたの部屋にセリーナのポスターはありますか?また、小さい頃にありましたか?

大坂なおみ: 小さい頃、3年生の時にセリーナについてのフル・レポートを作成しました。色もつけたりして。私は、彼女のようになりたいと言いました(微笑)。

Q. まだ持っていますか?

大坂なおみ: 家のどこかでフォルダーに挟んであるかも。分かりません。

Q. 今夜お祝いの予定は?

大坂なおみ: 寝ます(微笑)。 そんなに社交的な人間ではないんです。ビデオゲームとかするかも。分かりません。

Q. お酒は飲んだことありますか?

大坂なおみ: いいえ。私、20歳ですよ!(微笑)





司会者: 日本語での質問です。

Q. セレモニーの時に持っていた紙が何かと、あなたにとってどういう大会だったか、日本語で、もし可能だったら答えてください。

大坂なおみ: ええ、ごめんなさい。そうは思いません。私、今頭が落ち着かなくて。 その紙は、私自身へのメモみたいなものでした。あなたの質問の残りが聞こえなかったんですが。

Q. あなたにとってどんな大会でしたか?

大坂なおみ: えーと、少しインディアン・ウェルズと似ていると感じます。ことの成り行きが。ただ楽しもうとしただけです。この試合に入る際には、非常にタフな試合になると分かっていました。だから考えました、今まで全ての試合を一所懸命やった、この試合も同じように一所懸命にやろうと。

Q. セリーナとのグランドスラムで初めての決勝、USオープンで初めての決勝で、挑戦者として楽しめましたか?楽しめたので、今ある優勝トロフィーを手にすることができたんでしょうか?

大坂なおみ: 言いたいのは、プレーは楽しんだけど同時にナーバスでもあったし、ストレスもかかっていました。そして、そうですね、子供の頃ここへ来てみんながトロフィーを掲げているのを見ていたので、私のゴールの一つは達成できたと思います。

Q. この優勝は、さすがにお姉さんに初めて勝った時よりうれしいですか?

大坂なおみ: ああ、そうです。ごめんなさい。なんて事。そう思います。

Q. セリーナと打っていて、今日は自分が力で勝ったな、力で押し切れたな、ていう印象があるかというのが一つと、何か今まで毎朝ベーグルとサーモン食べてる、て言ってましたけど、優勝して何かもっと違うもの食べたいとかこういうもの食べたいとかありますか?

大坂なおみ: そうですね、彼女と対戦していた時に考えていたのは、非常に強い意志の力が要る、彼女は挽回する能力がある、そして、自分にチャンスがあればそれを掴む、ということです。 で、私は確かに今日サーモン・ベーグルを食べました。でも、そうね、食べたいものを何でも食べられるなら、お肉がいいです。トンカツ、カツ丼、カツカレー、それに抹茶アイス。

Q. さっき、オフコートではセリーナのファンだけれど、コートで試合が始まったらもうただのテニスプレイヤーだって言ってましたけど、それはいつ、試合が始まる前からテニスプレイヤーになってるのか、それともウォームアップした時なのか、あるいは実際に試合が始まった時なのか、いつセリーナのファンからテニスプレイヤーに切り替わるんですか?

大坂なおみ: 試合がスタートした時点だと思います。ウォームアップの時はまだすごくナーバスでしたから。まだ彼女が目に入っていました。でも試合がスタートしたら、相手ではなくボールを見るので……。

Q. アリシア・キーズが観に来てたんですけど、ビヨンセにも来てほしかったな、て思ったりしましたか?

大坂なおみ: えーと、彼女(アリシア・キーズ)がここにいたこと自体知らなかった。人々が大声を出していたのは聞こえました。そして、叫び声とか。それらは聞こえたけど、見上げたくなかった。ビヨンセか誰かを見て、平静を失いたくなかった。わっ!ビヨンセが私の試合を観てる!とか。 彼女がここにいたこと自体知らなかった。

Q. 今日の試合を振り返って、ここのポイントは集中してどうしても取らなきゃいけないと思った瞬間がどこだということを聞きたいんですが、例えば出だしとかあとはセリーナにブレークをされた時とか、5-3で最後、セカンドセット、ああいう騒然とした状況でもう一回入る時なのか、どの部分を一番集中しなきゃと思いましたか?

大坂なおみ: ええと、彼女が私をブレークした時だと思います。ブレークバックすることが最も重要なことで、その時最も集中が求められました。 彼女がブレークしてコンバートしたら、観衆は間違いなく彼女を大応援するでしょう。彼女はすごく発奮するでしょうし、これは危険な事でした。ブレークバックがとても重要だと考えました。

Q. このトロフィーは、どこに飾ってどういう風に扱いたいと思いますか?部屋に飾ったりとか……。

大坂なおみ: それはあまり考えていませんでした。分かりません。母に決めてもらうかも。

Q. 今日、お父さんの、お母さん、ハイチの人も、たくさん応援に来てたり、アメリカの人も応援してましたし、日本の人もいっぱい来てました。改めてその3つのカントリーをバックボーンに持つ大坂さんとして、その思いというんですかね、その3つのカルチャーの中で育った自分、そして今応援をもらってどういう風に思いますか?

大坂なおみ: そうですね、そうあることが楽しい、といつも思っています。違う国の人が応援してくれることが。そんなに深く考えたことはありません。私が思うに、うーん、私は応援してくれた人々、試合を観にきてくれた人々全てに感謝しています。それについて考えたことは今までありませんでした。

Q. なおみさんは今コーチとかトレーナーとかたくさんのスペシャリストに囲まれてますけれども、もともとテニスを教えてくれたのはお父さん。お父さんに教わったことで一番大切な事はなんですか?

大坂なおみ: 父が教えてくれた事についてですか?

Q. テニス選手として。お父さんに教わったことで一番大切な事はなんですか?

大坂なおみ: 重要?そうですね、ストロークとかではないですね、ストロークは誰でも教えられますし。父が教えてくれたのは、主に精神的により強くなる方法だと思います。でも、私は父とたくさんの話をしてきました。これは非常に長いプロセスでした。父の言う事がやっと理解出来たと思うので、それがとても嬉しいです。

Q&A with 2018 US Open women's champion Naomi Osaka   US Open News   Official Site of the 2018 US Open Tennis Championships - A USTA Event

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数多くのレジェンドを輩出し、かつては栄華を誇った米テニス界。現在も良い選手はたくさんいるものの、常時グランドスラム優勝が期待できて真にスターと呼べる存在は今やセリーナただ一人(姉ヴィーナスも十分スターですが、グランドスラム優勝からは遠ざかっているので)。そんなに遠くない未来に彼女が引退したなら、後に続く存在が全く見当たらないというお寒い現状です。

20年近く米テニス界の威信を背負い続けてきたセリーナ。かつて四大大会で特に重要視している大会について「ウィンブルドンと全米」と語った記憶があります。ウィンブルドンは多分ウィンブルドンだから。全米は自国の大会だから。今大会は、女子シングルスで史上最多に並ぶグランドスラム24回目の優勝もかかっていました。母親になって最初の全米でどうしても優勝したかった。勝ちたかった。でも、いざ試合が始まるとなおみちゃんが良すぎて思うように進まない上、コーチングで警告を受け、ラケット破壊、暴言のコンボで例によって自滅していく様に、セリーナを見てきた人なら思ったはず。

「またかよ」

と。

さらにセリーナが試合後の記者会見でも「私はこれからも女性の権利のために戦う!」等と熱弁を振るったせいか、一部で男女差別たらマイノリティーの権利がどうたらとか大きな問題にされているようですが、個人的には『大騒ぎし過ぎて、今更引っ込みがつかないんだろうな』としか思えないのが正直なところです。人権活動家の皆さん、セリーナを運動に誘って期待したほど協力的でなかったとしても怒らないで下さいね。

表彰式で司会者が話し始めた時に起こったブーイングですが、会場観戦の経験がある人なら分かると思いますが、テレビと違って会場ではルールの説明をしてくれる人はなく、コートから離れるほど主審のコールしか聞こえません。観客の多くがペナルティの細かいルールを知らず、遠くで何が起こっているのかよく分からないのでブーブー言っていただけと推測。

場内騒然の中、なおみちゃんがサンバイザーで目元を隠したのに気付いた際、セリーナがこの日初めて対戦相手の立場に思いをはせたように見えました。漸く気づいてくれたかセリーナ!そうなんだよ、隣に立っている女の子な、これが初めてのグランドスラムの優勝なんだよ!!

さすがのセリーナも、この時点で自分がなおみちゃんの晴れ舞台を台無しにしている現状を何とかしなければと焦ったのでは。これまで準優勝の時のセリーナは、表彰式で平静を装いつつ優勝者(ケルバーら)に対し「あなた、この私に勝つなんてすごいわ」と言わんばかりの態度で振る舞うのが常でしたが、今回は司会者に試合の内容について感想を求められると、

「えー、そう、非礼になりたくないですけど、進行を止めたくないんですけど、Q&Aはしたくありません。皆さんに言いたいんです、彼女(なおみちゃん)は良いプレーをしました。そして、これは彼女の最初のグランドスラム優勝なんです!(涙声)」
「えー、みんな大声を出していて私もそうだった。でもこの瞬間を出来るだけ最高のものにしましょう、(この状況は)乗り越えられるわ、称えられるべき人は称えられるべきです。もうブーイングはおしまい、みんなで乗り越えましょう、ポジティブにいきましょう、だから……Congratulations, Naomi!!」

あの時のセリーナはその場しのぎでなく、心からなおみちゃんを讃えているように見えました。あの基本的に天上天下唯我独尊のセリーナ様が!たとえ試合で負けても、ある意味絶対に負けを認めないセリーナ様が!これは新しかったですね。だから、あの試合だけでセリーナを見た人にはとんでもない女に見えたかもしれませんが(実際とんでもないけど)、根っからの悪人ではないんですよ。ただ自分が勝ちたかっただけ。優勝したかっただけ。「ブーイングはもう止めてー!」には、全世界から『お前が言うなよ』と突っ込みが入った声が聞こえた気がしましたけどね。

最初にこの決勝の一部始終を見た時は、

『なおみちゃん、初めてのグランドスラム優勝がこんな滅茶苦茶な雰囲気になって何て事。セリーナはこれを機に今度こそ態度を改めるべき』

とさめざめ泣いていたのですが、記事を書くために何度も過去と今回の出来事を見返すうちに、いつも同じ過ちを繰り返してしまうセリーナが気の毒になるやら面白いやら愛おしいやらで、いつしか爆笑の涙に変わってしまいました。もちろん全く誉められた振る舞いではないし、なおみちゃんがもしも負けていたら絶対に笑えなかったと思うけれど、23個もグランドスラム・タイトルを持っているにも関わらず、何が何でも勝ちたい試合で苦境に陥った自分をコントロールする術は、36歳の大ベテランとなった今も分かっていない。テニスプレーヤーとして全てに恵まれてきたように見えるセリーナですが、案外神様は公平なのかも。

全米テニス協会関係者が口を揃えてセリーナを擁護し、主審を責める論調なのには残念の一言。でも米テニス界唯一かつ最後のスターになるかもしれないセリーナに、態度を注意する勇気のある人物なんていないだろうな。それに、セリーナを責めたら今度は男女差別たらマイノリティ差別がふんだららな界隈がしゃしゃり出てきて厄介な事になるのも目に見えているし。裸の王様ならぬ裸の女王様にされてしまって、この点でもある意味不幸。

長年の友人であるロディックが窘めたらいいのに。でも、Twitterでは彼もやはり主審を批難していましたっけ。彼自身も現役時代は大概だったし、セリーナに「自分をコントロールしろ。試合に集中しろ」なんて言うタイプでもないか。アメリカは「騒いだもの勝ち」な傾向があるのかな?よく分からん。

***

一方、日本勢として史上初の快挙を若干20歳で成し遂げたなおみちゃん。彼女のコーチ、サーシャ・バジン氏は元々セリーナのヒッティングパートナーで、15年3月までの8年間(うち3年間は寝食を共にしながら)ほぼ毎日練習相手を務めた人物。なおみちゃん本人も、「セリーナが子供の頃からのアイドル」と公言しています。決勝よりも厳しい戦いだった印象の準決勝 vs キーズ戦を乗り越え、いよいよセリーナとの頂上決戦となった時点で、全米で大事な試合に負けそうになったセリーナが騒ぎを起こす事を想定し対策を話し合っていたはず。とは言え、プレーでセリーナを圧倒し、さらに過去経験したことがない恐ろしい雰囲気の中で集中を保ち続ける事が容易な訳もなく、大観衆の中で一人最後まで耐え切ったなおみちゃんはどれだけ賞賛してもしきれません。

そして、バジン・コーチ。彼がセリーナ、アザレンカ、スティーブンス、ウォズニアッキのヒッティングパートナーだった頃は(いやらしい意味ではなく)「女性の扱いが上手いんだろうな」くらいにしか思っていませんでしたが、伸び悩んでいたなおみちゃんのコーチに就いてからわずか一年足らずでグランドスラム優勝まで導いた手腕を目の当たりにした今は、一流のコーチとして認めざるを得ません。誰が彼のコーチとしての才能を見抜いて雇ったんだろう?気になるところです。

この記事を作るにあたり、表彰式からなおみちゃんの一番良い写真を探そうとしましたが、笑顔の写真は数えるほど(それも微かな笑み)しかありませんでした。元々やたらめったらニコニコするタイプでないとは言え、セリーナは次になおみちゃんに会ったら直接非礼を詫びてほしいなあ(主審のカルロス・ラモスさんにも)。救いは、なおみちゃんがグランドスラムの表彰台に立つのは、決してこれが最初で最後ではなさそうな事です。

全米前、米ニューヨーク・タイムズ紙のサイトにアップされたなおみちゃんの特集記事を、優勝後にやっと読みました。ご両親の馴れ初め、お母様のご実家は北海道なのに、どうしてなおみちゃんが生まれた時は大阪にいたのか、なおみちゃんは3歳からアメリカに住んできたはずなのに、どうしてちょっとした仕草がアメリカ人のようでなくむしろ日本人ぽいのか……いくつかの疑問が氷解しました。そして、北海道のおじい様はテレビに引っ張りだこでしたが、嬉しそうだったなあ。そして、あの庭は素晴らしいなあ!

なおみちゃんを取り巻く環境はこれからどんどん変わっていくのかもしれませんが、なおみちゃん本人はそのままでいてくれたらいいなあ。変な人が近づきませんように。東レPPOでの活躍を祈っています。

3 comments:

  1. お久しぶりです。ブログ、されていたんですね!
    このなおみちゃんの写真、ホットした顔がいいですね。ほんとに彼女はどの写真もぶすっとしてて(苦笑)それがまたいいんですけどね。珍しい逸材だとおもいます。テニスだけを信じてる子って感じで、好感がもてます。IWの優勝のスピーチでおもいっきりズッコケさせてもらったので、今回も心配していましたが、とても正直で、あの姿に私も思いっきり泣きました。お母さんの涙もよかったけど、その後のコーチの涙、あれ、来ましたね。まさかコーチまでもが涙するなんて、セリーナのヒッティングパートナーの時はなかったですもんね。なおみちゃんとの二人三脚が彼の脳裏にも浮かんだんでしょうね。良い人だったんだって、あの涙で思いました。

    で、セリーナ。またやりましたね。いっつも劣勢に立つとやらかすから、これはサーシャもなおみちゃんにとくと言い聞かせていたと思いました。そうなんです、セリーナの功績はすごいんですよね、あのくらいの女王気質でなければ成し遂げられなかった栄誉なんですけど、やっぱりそこはいちテニスプレーヤー。相手があってのテニスなのであって、あの態度はテニスそのものを傷つけた。あの試合を見ていた半分以上のひとはテニスをしない人だろうから、そのシロウトへのあの印象付けはほんとにやめてほしいですね。審判だって、先進だって、いなくちゃいけない存在なわけだし、あの行為は人権に責任転嫁しないで、清く誤ってほしいです。テニスを愛しているのならぜったいに謝ってほしいです。

    でも、しないんだろうな、セリーナだから(苦笑)

    ReplyDelete
  2. ↑のコメント、私でした。

    ReplyDelete
    Replies
    1. Shcatziさん、お久しぶりです!コメントありがとうございます。
      すっかり開店休業状態のブログですが、なおみちゃん全米優勝と広島でツアー開催という大イベントが1週間のうちに立て続けに起きたので、慌てて更新しています。

      言われてみれば、バジンさんはセリーナのボックスにいた頃には泣いたことないですね。そのせいもあったのか、もっとビジネスライクな人だと思っていました(ムラトグルー氏みたいな)。

      追い詰められていない時のセリーナは楽しい人なので、わざわざ自分を下げる行為をしてほしくないものです。あの振る舞いだけで日本の人に悪印象を持たれたとしたら悲し過ぎ。

      謝らないつもりなら、せめて引退する前に今回のような状況でも自分をコントロールできるようになってくれたらなあ。


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