全豪2013観戦記 DAY13 (その4) 国枝 vs ウデ

今年も全豪観戦の最後を飾ることになったのは、車いすの国枝慎吾選手の試合。

昨年の全豪は肘の故障により欠場となったものの、9月のロンドン・パラリンピックでは見事金メダル獲得の国枝選手。今大会は第2シード。

決勝の相手は昨年の全豪チャンピオンで宿敵。第1シード、フランスのステファン・ウデ。



肘の故障が癒え、国枝選手のショットには益々磨きがかかっているようだった。最初のゲームはデュースの繰り返しとなったが、ブレークスタートとなった後はウデを寄せ付けない。心穏やかな観戦。

国枝選手といつも決勝で当たるウデ。顔を見すぎたせいか、最早よその国のただの一選手とは思えない。エンドチェンジでウデはテープを取り出してタイヤに巻こうとしている。どこか調子が悪いのか。

客席にWOWOWの仕事で観戦中のフローラン・ダバディ氏を発見した。日本のテレビ局で働くフランス人という微妙な立場にあって、今日はどちらを応援しているのか。

第1セットが終わると、ウデはバスルーム・ブレイク。戻ってくると、今度は主審からウデがメカニカル・タイムアウトを取ったとのコール。メカニカル・タイムアウト！車いすテニスにはそんなものがあるのか。初めて聞いた。

専門のエンジニアさんが登場して、先ほどから気にしていた前輪を修理。やはり車いすの人だ。ラケットなら替えを何本か用意することはできるが、車いすの予備は……あるわけないよね。万一直らなかった場合はどうなるのだろう。やっぱりリタイア？

試合再開を待っている間にも時刻は7時に近づいて、6番コートを吹き抜ける風は一層冷たさを増してきた。こんな事もあろうかと上着やひざ掛けの用意は万端だ。さあ、存分にやってくれ。何ならフルセットになっても構わない。国枝選手もすっかり体が冷えてしまったのではないかと心配したが、ちゃんとガードしていたらしい。

修理完了で第2セット開始。その後も国枝ペースで試合は進み、目を見張るファインプレーもいくつかあった。間違いなく以前よりプレーの迫力が増したと思う。素晴らしい出来。

第2セットはとうとうウデに1ゲームも与えず終了。国枝選手が全豪2年ぶり6度目の優勝。おめでとう！！

国枝選手はフランスのミカエル・ジェレミアスと組んだダブルスでも2年ぶり7度目の優勝。全豪の単複二冠達成は6度目。

いつも思う事だが、応援している選手の優勝を見届けて全豪観戦を締めくくれるなんて贅沢な思いができるのは、ひとえに長くトップの地位にありながら努力を怠らない国枝選手のおかげだ。女子車いすシングルスで42回のグランドスラム優勝と470連勝を記録したオランダのエステル・フェルヘールは先日引退を発表したが、国枝選手にはまだまだ競技を続けてもらって、当面誰にも破られない記録を作ってほしいもの。それは決して手の届かない夢ではないと思う。


Men's Wheelchair Singles – Final
国枝慎吾 (JPN) [2] def. Stephane Houdet (FRA) [1]
6-2 6-0