前週の金曜に発表されたドローを見た時はいろいろな組み合わせに驚いたが、錦織くんの初戦の相手がグランドスラム11大会連続初戦敗退中の地元オーストラリア、マリンコ・マトセビッチとなった事もその一つ。
錦織くんはブリスベンでベスト4、クーヨン・クラシックではエキシビとは言え決勝でベルディヒを下し優勝と、一年のスタートとしては上々の成績。
そしてマリンコ。ああ、今回こそグランドスラム初勝利を期待していたのに、相手が錦織くんでは私としては「全仏頑張って」としか言えない。ちなみに連敗記録を同数で更新中のライバル(?)、イタリアのパオロ・ロレンツィは今大会不出場。
朝からの強風が収まらない中始まった第1セットは、最初のゲームで錦織くんがリターンでバックのダウン・ザ・ライン、フォアの逆クロスのウィナーを決める等で早々にブレーク成功。その後もマトセビッチのミスが早いのも手伝って、まずは錦織くんが危なげなく1セットリードとなった。マリンコが錦織くんとまともに打ち合ったところで、勝ち目は薄かろう。
第1セットだったように記憶しているが、マリンコが客席に向かって
「マーク」
と呼びかける声が聞こえた。コーチのマーク・ウッドフォードに何か話しているのか?コーチと言えば、錦織くんのコーチに就いたマイケル・チャンもこの場にいるはずだが、一体どこに座っているのだろう?錦織くんは試合中に
「マイコー」
などと呼びかけたりしないので、それは分からない。マリンコは試合後の記者会見で、ウッドフォードの声援が足りなかったと不満を漏らしたとか。
また、客席からの声に対しマリンコが「その呼び方は止めてくれ」と露骨に嫌な表情をして、主審からも「応援の際は選手の名前を呼んで下さい」とのお達しが出たこともあった。翌日の報道によると、マリンコの事を「Mad Dog」と呼ぶ観客がいたらしい。確かにあまりいいあだ名とは言えないが、「The Dog」と呼ばれたのを気に入って、自分の愛車にでかでかと犬のイラストをペイントしたドルゴポロフは剛の者だったな。
第2セット終盤に入ると、マリンコはストロークを無理をして打ってくる場面が少なくなった。5-5からマリンコがこの試合で初めてブレークに成功し、続くサービスゲームもキープ、セットオールに。
英語訛りの日本語で「幸せなら手を叩こう」を歌う声が聞こえてきた。声の主はこちらのお姉さん。
第3セットは第2ゲームで錦織くんが先にブレーク成功。事件が起きたのは錦織くんの4-2で迎えた第7 ゲーム。錦織くんのサーブがセカンドになると、マリンコはそれを全てストレートに叩き込み始めた。これは非常にまずい展開だ。ブレークバックは必至。三度目のデュースの後アドバンテージは錦織くんに。ここで突然マリンコは怒りながら自分のベンチに戻ると水を飲んだ。その時は何が起こっているのかよく分からなかったが、どうやらマリンコは緊張感が高まる中、錦織くんがゲームの最中に水を飲んでいるのに気づき、
「あいつばっかりずるい!俺も飲む!」
となったらしい。賢い錦織くんはボールキッズに頼んでベンチから水を取ってきてもらい、ポイント間にコートの後ろで水分を補給していたのだった。主審の制止もむなしくベンチで悠々と水を飲んだマリンコはこの日二回目のタイム・バイオレーションを取られ、ポイントは自動的に錦織くんへ。ゲームとなり5-3。
かねてよりマリンコの事を人気マンガ『スラムダンク』の主人公、桜木花道にそっくりだと思っていたが、マンガのような行動を実際に目の前でとられると、呆れて写真を撮ることすら忘れるものですね。桜木くんはマンガの中の16歳だが、マリンコは現実社会に生きる28歳ときたもんだ。すぐには感情を整理できなかったらしいマリンコは次のサービスでもブレークを許し、セットカウントは錦織くんの2-1に。
試合前は「どんなにマリンコが頑張っても4セットが精々だろう」と読んでいたが、第4セットはマリンコが二度ブレーク。錦織くんも一度ブレークしたもののフルセットにもつれ込んでしまった。地元でシード選手を相手に健闘するマリンコの頑張りは嬉しいが、錦織くんの今後の上位進出を期待すれば、この暑さの中で長い試合をするのは避けたかったのに。
ファイナルセットに入ると、錦織くんのプレーが目に見えて鋭くなった。ようやく集中できたようだ。しかし、この暑さと強風では集中するのに時間がかかるのは仕方がなかったかもしれない。私も暑さで頭がくらくらしている。錦織くんは第2ゲームでブレークに成功。
見つけた!あの帽子は間違いなくあのお方。
錦織くんの4-1で迎えた第6ゲーム、マリンコのサービスゲームはデュース合戦に。マリンコとしてはこれを取られて5-1になればほぼ絶望とあって最後の粘りを見せる。
デュースが繰り返される中、錦織くんがラケットを交換しにベンチに戻ると、次のポイントの後マリンコはベンチに戻って水分補給。この時も制限時間はオーバーしていたのだがお咎めなし。結局デュース10回の末、マリンコが何とかキープ。しかし、抵抗はここまでだった。
次のマリンコのサービスゲームを、錦織くんは30-0からブレーク。全豪では4年連続の初戦突破となった。気温が40度を超える中、試合時間は3時間41分。勝って良かった。
この試合は負けてしまったけど、よく頑張ったぞマリンコ!全仏こそ初勝利が挙げられるよう祈っています。でも、次は錦織くんと当たらないでね。
こちらはおまけで、当日の中継よりコートから引き上げる錦織くん。
Men's Singles - Round 1
錦織圭 [16] def. Marinko Matosevic (AUS)
6-3 5-7 6-2 4-6 6-2
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