Friday, 21 December 2012

全豪2013 ワイルドカード・プレーオフDAY7観戦記 男子決勝

女子決勝に続いて男子決勝がスタート。

ベン・ミッチェルとマット・リードは、どちらも今回が初のワイルドカード・プレーオフ決勝進出。20歳と22歳の新鮮な顔合わせとなった。二人は仲良しさんということで、試合直前コートに入る前も談笑。リードのウェアは、実はミッチェルのお下がりだとか。

今年男子は5セットマッチに変更となったことで、金曜に準決勝、土曜は一日休んで日曜に決勝を行う予定だったが、金曜は終日雨となり土曜に順延となった。

Ben_Mitchell準決勝でマシュー・バートンと対戦したミッチェルは2セットアップ、第3セットも3-0としながらフルセットにもつれ込み、ファイナルセット9-7で5時間の激闘を制した後、休む間もなく決勝に臨むことに。

Matt_Reid一方リードは、準決勝で今回の優勝最右翼と目されていたジョン-パトリック・スミスと対戦しながら2セットアップ。第3セットをスミスに奪われるも、本人曰くこれまでのようにネガティブになりすぎないように心がけたとかで、4セットで勝利。ストリーミング観戦だったが、丁寧につなぎつつ随所で彼らしい華やかなネットプレーやウィナーも見られて、これまで見た試合で最高の出来だった。思った通りだ。やっぱりやれば出来るんじゃないか!もう今日は期待するしかない!

ミッチェルは前日の疲れがさすがに残っていたのか、サーブのトスアップで太陽が目に入るのを露骨に嫌う様子も見せつつ、最初のサービスをブレークされるスタート。しかし、その後徐々にゲームに集中し始めブレークバック。まだ気持ちはきれてないようだ。準決勝の勝ち上がり方から見ても、今日負けたとしてもミッチェルのワイルドカード獲得はほぼ間違いないだろう。とあれば、この試合はリードが勝って自力で全豪出場を確実にしてほしかったのだが、どうもミッチェルの気合が上回っている雰囲気。

第2セット、ミッチェルの3-4で迎えた第8ゲームはミッチェルのサービス。10回のデュースでリードにはブレークのチャンスもあったが逃した。結局タイブレークとなり第2セットを取ったのもミッチェル。


Matt_Ebden隣りのコートに練習に来たのはマシュー・エブデン。この度新コーチとして、かつてフィリポーシス、ディミトロフのコーチを務めたピーター・マクナマラ氏を迎えた彼。この日はジュニアを交えて3人で練習。マクナマラ氏は褒めて育てるスタイルのようで、「いいぞマティー、その調子だ!」という声が。

Tennis - ATP World Tour - Player News 2012 - McNamara To Coach Ebden

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第3セットが終わると、ミッチェルはトレーナーを呼んだ。つま先と足の付け根を痛めたようだ。リードにとってはもう1セット取り返すチャンスのはずだった。ところが、メディカル・タイムアウトの間にリズムを失ったのか、友人の故障が気になったのかは分からないが、棒立ち気味に返すのが精一杯のミッチェルにお付き合いして、リードはミスを量産。ブレークポイントもあったのに取り切れない。ああ……何だかこうなる予感がすごくした。リードは顔に似合わず気持ちが優しいのだ。声も甲高いし(関係ない)。そうこうしているうちに、ミッチェルは再びプレーを立て直した。かわいい見た目に似合わず、実は根性の人だったらしい。第3ゲームでミッチェルが先にブレークし2-1。どちらがこの試合に賭ける思いが強いかは、もはや明らかだった。

sparrowスズメも観戦。

ミッチェルがリードを守りきり6-4で取り、ワイルドカード・プレーオフ初優勝。

P1050110表彰式開始を待つ間も、隣り同士に腰掛け話をする二人。

P1050113表彰式。10歳以下の大会で優勝した男の子からクレデンシャルをかけてもらうミッチェル。

ところで、私の斜め前にはミッチェルを激しく応援する一団が陣取っていて、後で確認したところ彼のご家族だったらしい。ミッチェルのお兄さんルーク・ミッチェルは、かつてヒューイットの妻ベックさんもキャストに名を連ねた豪長寿ドラマ「Home & Away」に出演している俳優で、彼のツイートによるとシドニーを離れられないとかで応援こそ来ていなかったが、この大会中は”Go Benny!”、”C’mon Benny!”、「みんなうちの弟の試合をライストで見てやってね」等、弟の話しかしていなかった。

初の5セットマッチでのプレーオフ実施には賛否両論あったようだが、ミッチェルにとって今回の優勝はきっと大きな自信になったことだろう。あとは、テニス・オーストラリアが今回の頑張りを認めて、リードにもワイルドカードを与えてくれることを祈るばかり。南無南無。

男子決勝のハイライトはこちら。



2013 Australian Open Wildcard Playoff
Men’s Singles Final
Benjamin Mitchell [5] def. Matt Reid [3]
6-3 7-6(5) 3-6 6-4


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最後に、テニス・オーストラリアがこの1週間の戦いをまとめたビデオが秀逸だったので貼っておきます。2013年のシーズン開幕までいよいよあと10日!




Tennis Official 2013 Calendar
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2 comments:

  1. ワイルドカードプレーオフ楽しそうですね!ビデオもかっこいいです。コートの角からボールを追うカメラワークすご!キルギオス痛々しい(TдT) 
    ベン・ミッチェルWC獲得おめでとう。彼は横浜(慶応)チャレンジャーで来日していたのでプレーを見たかったんですけど2回戦負けで試合は見られず。予選時に練習で見かけた気がするのですが、、あまりに顔が小さくて欧米の選手は照合が難しいんですよね。それはそうとチャレンジャーの観戦にハマりそうです。周りに言うと口を揃えて青田買いか?ときかれて違うんだけど説明がつかないです。とりあえず次に観戦いくときはやっぱりまたアーリーラウンド狙い、もっと早く予選狙いでもいいな、と思ってます。こみねさんはWCプレーオフとか予選の魅力をなんと語りますか?

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    1. 白ごはんさん、こんにちは。実のところワイルドカード・プレーオフの記事は他の記事に比べると三分の一くらいのアクセスなのですが、目を通して下さってありがとうございます。うれしいです。

      外国人選手の区別はなかなか難しいですね。私はブロンドのポニーテール女子の判別が特に苦手です。

      ワイルドカード・プレーオフや予選の魅力。いろいろありますが、興味を持った選手のその後の成長を追うのが楽しみの一つです。無名の頃から目を付けていた選手が活躍して日の目を見れば嬉しいし、上に行くのは難しいんじゃないかと思っていた選手が案外上がってきたりということも起きたりで、自分の目や直感を試す場でもあります。加えて、客席は空いていて入場無料。最高です。

      今はまだ有名ではないけれど、キラリと光る何かがある――そんな自分だけのお気に入りを探しに、チャレンジャー、フューチャーズにもどんどん出かけてみて下さい。楽しめると思いますよ!

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