放送後から同局のサイトでストリーミング配信があったのは知っていたのですが、てっきり豪国内限定だと思いここでは取り上げませんでした。が、米在住のSports Illustrated誌ライター、ジョン・ワーザイム氏が今日Twitterでこのサイトを紹介していたので、どうやら他の国からでもアクセスできるようです。興味のある方は是非ご覧下さい。
ABC iView(あと5日間視聴可。トランスクリプトはこちら)
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さて気になる内容ですが、近年中央集権化を強め、意見を異にする勢力を悉く潰そうとしているTAを告発する、という何やら穏やかでないもの。
現在TAの会長を務めているのはジェフ・ポラード氏。同氏は20年もの長きに渡り無選挙で会長の職にあったのですが、この状況に異を唱えたレイトン・ヒューイットを含めた一派は元世界1位で全豪のトーナメント・ディレクターを務めたこともあるポール・マクナミー氏を対立候補として擁立。昨年10月、20年ぶりに選挙が行われ、結果は1票差でポラード氏の勝利となったものの、同氏はこれを最後の1年とすることを約束。今年の選挙ではマクナミー氏の当選が有力視されているとか。
いくつか番組で取り上げられていた事例を挙げると・・・
・TAが選抜した16~20歳の選手16名は、奨学金を得てキャンベラのAIS(Australian Institute of Sport)でトレーニングする権利を与えられている。しかし、この4年半で4千万ドルを投資しているにもかかわらず、目に見えた効果が現れていない。「5、6人いるコーチがみんな違うことを言うから子供たちは混乱する」と元世界4位のパット・キャッシュは指摘。
・ブリスベンに新しくできたクイーンズランド・テニス・センター。その建設を請け負った不動産会社が、同社が建築した高級マンションの購入に関して数名のTA役員に対し何らかの便宜を図った疑い。
・08年9月、元世界No.1パット・ラフターが「Australian Tennis」誌上で「現在テニス・オーストラリアはただ一つの、一方からの意見しか受け付けていない」と発言すると、TAは同誌をプロ・ショップから直ちに撤収し、昨年7月には買収。同誌の経営が悪化していたことは事実であるものの、その1年前にTAが同誌に掲載していたほぼ全ての広告を打ち切ったことも原因の一つとされている。
・かつてボランティアで運営されてきた組織「テニス・コーチ・オーストラリア」に対して、TAは06年「48時間以内にウェブサイトを閉鎖するように」と突然の要求。現在TAには2,500人のコーチが所属し、会費として一人当たり年300ドルを徴収。
・TAは選手のマネージメントにも進出。現在6人が所属していて、将来を嘱望される16歳、ジェイソン・キュブラーもその一人。キュブラーは今年ワイルドカードで全豪本戦に出場。初戦を突破してメディアからの取材が殺到していた場合、賞金からマネージメント代を差し引かれたのでは?と推測されている。
・メルボルン・パークのサーフェスがプレキシクッションへと変更になった背景には、50年代の世界No.1アシュリー・クーパー氏の影がちらほら。氏は現在TAの役員であり、プレキシクッションを扱う会社の取締役も務めている。
・18年間に渡りジュニアの国際大会を開催してきたヴィクトリア州トララルゴンのクラブは、3年前サーフェスをプレキシペイブに張替え。TAは同クラブに対しプレキシクッションへの張り替えを要求。従わない場合は大会を別のクラブに移す、と通達。
・ポール・マクナミー氏は豪国内の恵まれない子供たちにテニスを教えるチャリティー、「キッズ・テニス・ファンデーション」を17年間に渡り主催。しかし、今年TAはマクナミー氏に何の連絡もなく独自に同様のプログラムを立ち上げ、全豪の公式プログラムに掲載。
自由な意見を抑えようとするTAのやり方は、どこかの国の与党とかぶります。オーストラリアのテニスの健全化も切に願ってはいますが、そんなことより日本という国がどこへ向かおうとしているかの方が、今はよっぽど心配です。
民主党の正体−矛盾と欺瞞と疑惑に満ちた、日本人への恐怖の罠(OAK MOOK 305 撃論ムック)
西村幸祐
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