Thursday, 16 February 2012

全豪2012 DAY6観戦記(その4) 錦織3R vs ベネトー

3時過ぎ、錦織圭選手とジュリアン・ベネトーが登場。ショーコート3はとっくに超満員。

P1030689 客席から時折「ニシコリー!」と叫ぶ声が聞こえる。最初は日本人だと思っていたが、「r」の発音がきついので地元の人のようだ。明らかに日本人の発音でない「ガンバレー」という声も多く混じっている。1Rでは、どこで覚えてきたのか「アイシテルー」とか「ダイスキー」とか叫んでいる地元の男の子グループもいた。錦織くんに聞こえたら笑ってしまうんじゃなかろうか。

P1030697ボールの回転まではっきり見える。感激!朝からここに座り続けた甲斐があった。

P1030704ベネトーは先週シドニーで決勝進出。悲願のツアー初優勝はまたもや逃してしまったが、2Rでは同国のジル・シモンを4時間かけてフルセットで下したうえ、喜びのダンスまで披露した30歳。

P1030707 第1セット、錦織くんは最初のゲームでいきなりブレークに成功し、一時は4-2とリード。ところが、そこからベネトーが4ゲーム連取。1セットダウンのスタートとなってしまった。2Rの時ほど調子が悪いということはなさそうだが、まあ、錦織くんの第1セットはこんなものと最早納得してしまっている自分がいる。試合は第2セットからだ!

P1030714 ベネトーは連戦で疲れているはずなのに、今日も錦織くんとのロングラリーを厭わず。ネットに詰めた錦織くんの脇を抜く鋭いパスを決めるなどさすがに上手い。

P1030723 アメリー・モーレスモとニコラス・エスクード。

P1030719とあるエンドチェンジ。突然、裁判官のコスプレをした男性数名が立ち上がり歌い始めた。週末にはこの手の賑やかしグループが現れがち。

P1030729 彼らは特にどちらかの応援というわけではなく、何か知らない曲を朗らかに合唱。一人一人が背を向けると、そこにはそれぞれ「T」「E」「N」「N」「I」「S」「!」「!」の文字が。

P1030730 パフォーマンス終了と同時に主審がタイムのコール。きっと事前にみんなで練習して来たんだろうな。衣装の文字も自分で入れて。ふざけているようにしか見えないけれど、きっと真面目な人たちに違いない。

P1030741

P1030748 錦織くんは第2セットも第3ゲームで先にブレークに成功。しかし、第8ゲームでブレークバックを許しタイブレークへ。7-3で1セット取り返した。

P1030763 第3セットはお互いキープで2-2まできた後、第5ゲームでベネトーが先にブレイク。さらに第7ゲームでもブレークを許し2-5。私はてっきり錦織くんはちょっとくたびれたか何かで、このセットを諦めて次に賭ける気なのだと思い込んでいたが、ここから3ゲーム連取し5-5に追いついた。第11ゲームも錦織くんのサーブで40-0。完全に流れは錦織くん!かと思いきや……ベネトーは全く諦めていなかった。

――錦織くんの試合をここまで3つ見てきていつも感服せずにいられなかったことは、相手選手の勇気だった。というのも、どの相手と比べても贔屓目なしで錦織くんの方がずっと才能に溢れているのだ。直接相対している選手本人がその事に気が付かないはずがない。今日も試合開始から既に3時間近くが経とうとしているのに、錦織くんの上体がぶれることはなく、軽いフットワークで打点に入り、ひとたびラケットを構えられるとどこへ打ってくるか全く検討もつかない。そして一瞬鋭いスイングが見えたかと思えば、一歩も動けないような場所の、かつオンラインの際どいところへボールが返ってきたりするのだ。こんなすごいのを向こうに回して一体どうすればいいのか!試合が始まったばかりなら立ち向かう元気もあろうが、ラリーを重ね疲労が蓄積する中、自分が敵わないものを持っている相手に追い込まれてなお勝ちたい気持ちを保ち続ける精神力……何でもかんでもすぐ諦める私にとっては未知の世界。

ベネトーは再び1ブレークアップとして、サービング・フォー・ザ・セット。すごい!それでこそセバスチャン・グロージャンを生んだテニス伝統国フランスの男!!ベネトーには今年こそ優勝してほしい。そして、その決勝の相手は錦織くんではありませんように。

しかし、錦織くんもすぐブレークバックしてタイブレークへ。錦織くんの3-2で、ベネトーのサーブはセンターへ。錦織くんが飛びついたフォアのリターンは逆クロスへ緩めに上がり、サイドラインギリギリにインで4-2!そして錦織くんの6-4となり、最後はベネトーは当たり損ないのダブルフォルト。錦織くんがセットカウント2-1とリードできて安心する一方、ベネトーの奮闘に感動した後のあまりの結末に全身の力が抜けてその場に崩れ落ちた。

ところで、私の真後ろには試合開始前から今まで(インプレー中も)ずーーーーーーーーっと喋り続けていたグループがいたのだが、うち男性一人が第3セット終了と同時にどこかへ消えた。お兄さんが会話のキーパーソンだったらしく、残された女性二人はその後すっかり大人しくなった。お兄さんは去り際「また戻ってくる」と言い残した。いや、もう帰ってこなくていいですから!頭がおかしくなるかと思った。

P1030776私の半径1mが静寂を取り戻すとともに、第4セットの展開も心穏やかなものになった。錦織くんは第3ゲームでブレーク。3-1で迎えた第5ゲームから、ベネトーは全てのポイントでサーブ&ボレー。ロングラリーはもう無理らしい。一方、錦織くんもポイント間は疲れた様子がありありなのだが、プレー中の足取りはまだ軽い。いける!

P1030789 第8ゲームをワイドへのサービスエースで締めて5-3!

P1030792勝った!!

P1030795 試合時間は3時間25分。錦織くん、全豪初の3R突破&08年全米以来二度目のグランドスラム4R進出おめでとう!!


Men's Singles - 3rd Round
錦織圭(JPN)[24] def. Julien Benneteau(FRA)
4-6 7-6(3) 7-6(4) 6-3

2 comments:

  1. またまた失礼します。

    今回の全豪・錦織くんの試合の中で、私としてはベネトー戦が一番おもしろかったです。
    現地、しかもすばらしい席で観戦された、こみねさんがうらやましいです。

    正直、ベネトーさんがここまでがんばるとは思っていなかったし(ごめんなさい)、ベテランの意地と錦織くんの才能のぶつかり合い。特に3セット以降は目を離せなくて、ただ観ているだけなのに疲れました。

    錦織くんは1セット目からガンガンいってほしいですけど…あれも戦略の一つなんでしょうかね?
    日本人以外のファンもずいぶんいたみたいですね。あれだけのプレーですから当然かな。
    今年はほんとに楽しみだし、こちらも観戦忙しくなりますね。

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  2. 2Rで危うく席を取り損ねそうになった教訓が生きました。錦織くんをこんな間近で見られることはもう二度とないかも?

    ベネトーは凄かったです。持てる全ての力を出し尽くしました。どうかツアー優勝の夢を叶えてほしいです。

    錦織くんは、多少疲れてあれこれ考えずに体が自然に動き始めた時から彼らしいプレーが見られるように感じます。なので、試合開始直後は難しいのかも?
    錦織くんの人気は本物ですよ!これからの活躍も見逃せませんね。

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