4時過ぎ、お待ちかねの錦織圭選手が対戦相手、地元のマシュー・エブデンと一緒に登場。
この試合は豪でも生中継があったので、現地で見た感想とビデオで見た感想を合わせて試合を振り返りたいと思います。
第1セット。錦織くんは例によってスローな立ち上がり。第4ゲームでブレークされ、すぐさまブレークバックするも、第6ゲームで再びブレークを許し2-4。
一方のエブデンは絶好調。地元大応援団の前で格上相手に臆した様子もなく、堂々と自分のプレー。伊達に下積みは長くない。
第1セットは6-3でエブデン。1stサーブの確率は錦織くんの61%に対しエブデンは81%だった。まあ、錦織くんの第1セットは大抵こんな感じだ。きっとそのうちに調子を上げてくれることだろう。
ところが、第2セットも錦織くんは第3ゲーム、第5ゲームでブレークされる厳しい展開。1-5で迎えた第7ゲームもあっさり0-40となり、エブデンに3セットポイント!あーれー!!
ここで錦織くんは突然、何かを吹っ切るかのように思い切ったスイングを連発。まずセンターに帰ってきたエブデンのリターンを、恐ろしい速さのフォアでクロスに叩き込み15-40。次は、クロスに戻ってきたリターンを再びフォアでストレートに強打。エブデンはこれをネットにかけ30-40。続くポイントは、ベースラインのラリーから錦織くんがドロップショット。エブデンは追いついてクロスのショートアングルへ。錦織くんはこれを浅めのセンターに返した後、エブデンが上げたロブをクロスへ豪快なスマッシュで決めデュースに。唐突なネジが外れたようなプレーは、先日のホップマン・カップ決勝で追い詰められた時のガスケのプレーとかぶる。これを機に、錦織くんが何とか自分のプレーを取り戻してくれれば良いが。錦織くんはアドバンテージを握るが、結局エブデンがブレーク成功。第2セットも落としてしまった。このセット、アンフォースドエラーの数は錦織くんの15に対し、エブデンは1。
これは全く予想していなかった展開。ダーさんの隣りに座っていたアメリカ英語を話すおじさんは、ダーさんが日本人と知ると、
「錦織は本来ずっと優れたボールストライカーのはずだ。エブデンはディフェンシブじゃないか。僕はさっきから錦織のエラーを数えてたんだが、24もあった。彼はどうしたんだ?」
うーん、こういう日もあるってところでしょうかねえ。今の私のささやかな望みは……第4セットが見られたらいいなあ……。
それにしてもエブデン。昨年ブリスベンとマスターズ1000上海のベスト8で大きくランクを上げ、今年は初めて全豪本戦ストレートイン。今日も絶不調の錦織くん相手とは言え2セットアップ。3年前、メルボルン郊外のチャレンジャーでマリンコ・マトセビッチに負けて、悔しさのあまりラケットを高く放り投げながら遠回りしてクラブハウスに戻っていた人が、何と立派に成長したことか。
きっと第3セットこそ錦織くんの調子は上向くはず!最初のゲームをブレークして上々の滑り出しかと思われたが、目に見えて錦織くんのプレーが良くなったとも思えず、エブデンにも崩れる気配はない。第4ゲームでエブデンにブレークバックを許し2-2。続く第5ゲームはエブデンがラブゲームでキープし2-3に。小走りにベンチへ帰るエブデンと対照的に、トボトボと戻る錦織くん。これは厳しい。
お互いキープが続き、4-4で迎えた第9ゲームはエブデンのサーブ。ここで解説のトッド・ウッドブリッジは、
「エブデンはグランドスラムで3回戦に進んだことがない。ここから10分間は、どれだけスイングスピードを速く保てるかが重要」
同じくジョン・ニューカムも
「守りに入ってはいけないね」
ところが、エブデンは勝利を目前にした緊張からか、ストロークがすっぽ抜けるミス。チャンスかも!しかし、錦織くんもエブデンのアプローチをバックで返すもネットに掛け30-15。天を仰ぐ錦織くん。ビデオには映っていなかったが、錦織くんが上体をブルブル振っているのが見えたのはこの時だったように記憶している。何か取り憑いているのか?私が霊媒師なら取ってあげられるのに!
エブデンがフォアのローボレーをミスして30-30。続くエブデンの1stサーブはセンターへ入り、エブデンはセンターに戻ってきたリターンをフォアの逆クロスを打ちネットへ。1回目のバックボレーは逆クロスへ上手く落としたが、錦織くんがフォアでダウン・ザ・ラインへ返した2回目のバックのローボレーが浮き上がり錦織くんの正面へ。錦織くんはこのボールをバックで逆クロスにウィナー。決まると同時に、
”C’mon!!”
とものすごく太い声が聞こえた。俄には声の主が信じられないでいたが、隣りのダーさんに
「……もしかして今の声って錦織くん?」
と確認すると、そうだと言う。へえ……これは度肝を抜かれた。昨年全米でストーサーの大きな”C’mon!!”を聞いた時よりも。
このゲームで錦織くんはブレークに成功し5-4。続く第10ゲーム、大事な局面を乗り越えた錦織くんはすっかり本来のプレーを取り戻したようだ。キープして、ついに1セット挽回。
バスルーム・ブレーク。
第4セット、第5セット、錦織くんが手足を振ることはもうなかった。フットワークは衰え知らず。一方、エブデンは動きに疲れの色が明らか。エブデンはこれが初めての5セットマッチだったとか。
錦織くん、2セットダウンからよく勝ったぞ!!昨年に続く3R進出おめでとう!
WOWOWのインタビューに裕次郎立ちで答える錦織くん。
ところで、試合前はもっとアウェーな雰囲気の中で応援することを覚悟していたが、この日のマーガレット・コート・アリーナのお客さんは意外と優しくて拍子抜けした。一触即発の雰囲気が漂っていたティプサレビッチ vs ダックワース戦とは大違い。きっと錦織くんがかわいい人だからだろう。別にティプサレビッチがかわいくないと言っているわけではなくて。
Men's Singles - 2nd Round
錦織圭(JPN)[24] def. Matthew Ebden(AUS)
3-6 1-6 6-4 6-1 6-1
今年になってこちらのブログの存在に気付きました。
ReplyDelete面白くてうれしいです。
錦織ファンなので、2回戦の記事も楽しみにしていました。
最近、本当に体をぶるぶるしますね。霊だったとは・・・。
太い声は時々聞きますが、うおっとしか聞こえなかったです。カモンですか。
いろんな記事を読む度にクスッとかアハハとか、いい感じになります。これからもがんばってください。
オリーブさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
ReplyDelete錦織くんのブルブルは霊の仕業かもしれないんですけど(ないない)、思ったように体が動かないからではないかと勝手に推測しています。
読んでいい感じになるとのお言葉、嬉しいです。これからも楽しんで頂ければ幸いです。