女子決勝、表彰式に続いて、男子の決勝が始まった。第2シードのニック・リンダールと第4シードのバーナード・トミッチの対戦に。
リンダールは21歳。スウェーデン生まれのインドネシア系オーストラリア人で、06年全豪ジュニアのファイナリスト。08年の全豪本戦1Rではガスケから1セット奪ったことも。今年はアメリカのチャレンジャーを中心に活動。現在の世界ランクは自己最高の251位。
やたら男前なうえ素晴らしいサーブで、スイングスピードが速く一見アグレッシブに見えるのだが、しばらくトミッチと見比べていると何か決め手に欠けているように思われる。トミッチは全般的にのっそりした印象だが、コートの内側で高い打点でフォアを打つチャンスがあればいつでもエースを取りそうなのに対して、リンダールはベースラインからトップスピンで粘るのが基本で、自らエースを取りにいくことはほとんどない、いわゆる「シコラー」だ。もちろんかなりハイレベルの「シコラー」ではあるけど。
男子決勝が始まってしばらく経ったが、女子決勝の後消えた観客がなかなか席に戻ってこない。どうやら豪テニスファン的にはデラクアちゃんは全国区だが、トミッチはまだまだらしい。こりゃ意外。ゲームの内容は男子の方が断然充実していたのに。
試合開始後すぐ、ランチを手にしたジャッジ軍団が客席にやってきて私たちの真後ろに陣取った。先ほど女子決勝の主審を務めた女性を含めた審判たちはバーガーやフライドポテトをムシャムシャ食べながら
「(さっきの女子決勝第2セットは)ワンダフルなタイブレークだったわ、ミスばっかりで」
「トミッチのバックハンドってgirly(女の子っぽい)よね。あ、ほら、今のとか」
「(線審のフォルトのコールに間髪入れず”Correction”のコールをかぶせた主審になぜか大ウケで、全身を前後に激しく揺らしながら)ブハーッハッハッハ!あいつ、ああいう奴だよねー」
「あいつの事は誰も好きじゃない」
とか休みなくしゃべり倒している。仕事中は発言が制限されているだけに、言いたいことならどれくらいあるか分からなく溢れているのだろう。
第1セットはタイブレを制したトミッチ。 第2セット早々にリンダールに先にブレークを許すと、自分が先にブレークした時同様、途端にプレーが雑に(少なくとも私にはそう見えた)。ラケットは大振り、セット終盤にはやる気があるんだかないんだかよく分からないリターンダッシュを連続で試みたり。自分のサービスゲームの番なのに、主審から”Tomic to serve”と促されるまで真面目な顔でリターンの位置で構えていた場面もあった。そんな調子で、第2セットは6-1でリンダールに。9月に全米ジュニアを制した後、トミッチは大会出場がなかったらしい。
第3セットに入ると、トミッチは集中し直したように見えた。キープが続き、第10ゲームでトミッチがブレーク。最後はリンダールのスマッシュをロブで返球、コーナーに決まるビューティフルなポイント。
トミッチ、自力のワイルドカード獲得おめでとう!と拍手しようとしたが、プレーヤーの二人は握手をせず席に戻った。私たちを含めた事態の飲み込めない観客は少しの間戸惑ったが、どうやら決勝は5セットマッチだったらしい。3セットマッチと思っていた人が多かったらしく、吹き付ける風が次第に冷たさを増す中、最後まで見るのを諦めたお客さんがちらほら消えた。
第4セットはトミッチがすぐにブレーク。あっという間に3-0とリード。その後5-2となり、すっかりトミッチ勝利のムードが漂っていたのだが、前日もあと2ポイントで負けるところだったリンダールはこの日も諦めなかった。マッチポイント5つを凌いで、タイブレもリンダールが取った。
第4セットが終わると、リンダールは主審に断りも入れず勝手にコートから出て行った。第1セットの後トミッチがバスルームブレークをとった時は、ちゃんと線審を一名連れて行ったのだが。
ファイナルセット。トミッチはポイント間で立ち止まっては地面についたラケットに寄りかかる等疲れを露にし始めた。腰も気になるようだ。第5セットを戦うのはトミッチはこれが2回目、リンダールは初めてだったとか。第6ゲームでリンダールが先にブレイク。これが勝敗を決めるゲームになった。
この試合は落としたが、昨年の全豪では16歳ながら本戦1Rで勝利。将来に大きな期待が寄せられているトミッチには、今年もまずワイルドカードが与えられることだろう。しかし、リンダールが負けていたら・・・もしかしたらちょっと厳しかったかも・・・。リンダールのプレーはガッツがあって、シコラーながら華があるので、どちらも本戦入りできたとしたら個人的には良い結果になったと思う。
表彰式。リンダールはインタビュアーの質問にも返す答えが短い。二枚目だけに口数も少ないらしい。そして、この日観客席にエルトン・ジョンの姿はなかった。もしくは、また気づかなかっただけかも。
試合後のトミッチは穏やかな表情でリンダールと談笑。ファンからのサインや写真の要求にも礼儀正しく応え、やはり特におかしなところのない極めて普通の少年に見えた。となると、ヒューイットとのウィンブルドンのあれは一体何だったのか?やはり騒動の鍵を握るのはオヤジ?
ヒューイットの会社がロゴウスカと契約した、という記事の中で「今後トミッチと契約する可能性は?」との質問にヒューイットのマネージャー、ドライズデイル氏の答えは「彼にはもうIMGが付いているから。でも、彼が話をしたいと希望すれば、我々は喜んで聞く」という事だった。契約はともかく、早く仲直りできると良いけれど。
残りのワイルドカードを与えられる選手(男子4名、女子3名)は、本日24日発表。女子はプレーオフ決勝で負けたロゴウスカ、準々決勝で負けたモリックに行く線が濃厚。一日早いクリスマスプレゼントを受け取るのは誰?!
Men’s final
[2]Nick Lindahl def. [4]Bernerd Tomic
6-7 (6-8) 6-1 4-6 7-6 (10-8) 6-3
Tomic left hanging after Lindahl's win.
Tennis Australia - News - Articles - Lindahl outlasts Tomic in epic final.
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