ネットの向こうに、すごい勢いで素振りを繰り返す史上最強姉妹が立っている。
そんな姉妹と戦うことになったあゆみちゃんが試合前は心配でたまらなかったが、こちらの思惑をよそにあゆみちゃんはゲームの初めから生き生きとしたプレー。姉妹の強力ショットを楽しんでいる節すらある。すごいメンタルだな。ラリーでも決して打ち負けることなく目が覚めるショットもしばしばで、セリーナが至近距離から打ち込んでくるボレーを連続して凌いだ挙句ウィナーを奪う場面。ショーコート3に詰め掛けた満員の観客はみんな
「あの小さな女の子は誰?」
と思ったのでは?お世辞抜きでそれほどあゆみちゃんのプレーは鮮烈だった。ペアを組んだミュラーが同じような気持ちで試合に臨めていれば、もっと違った展開が期待できたかもしれない。しかし、残念ながらこちらは明らかに萎縮した様子。あゆみちゃんが孤軍奮闘しているだけに、段々とフラストレーションがたまってきた私は危うく
「おまえ、ふざけんなよッ!!!」
と叫ぶ一歩手前だったが、昔のCMみたいなことになったら困るので思いとどまった。
閑話休題、この試合で最も話題になったのは例のストリーカーだ。
チェンジコートになったので水分を摂ろうと下を向いてバッグの中身をゴソゴソしていると、離れた観客席から悲鳴混じりの歓声が上がった。顔を上げると、コートの中に明らかに試合と関係なさげな男性が一人立っている。モニカ・セレスの不幸な事件を思い出し一瞬身構えたが、男性は手ぶらで笑顔。ネットの真ん中まで、進むとおどけた様子で二歩進んでは二歩下がるような動作を繰り返す。ネットの向こう側の観客席は大爆笑。私の席からは腰から下がネットに隠れてよく見えないが、これってもしかして……
男性はやがてベンチで休憩中のウィリアムズ姉妹の前へ進むと、「フルッ、フルッ」と露出した下半身を見せ付ける行為。あっ、見えた。見てしまいました。
ウィンブルドンなら速攻で布を持ったセキュリティーが数人がかりで取り押さえにかかることだろうが、ここは全豪。誰もがニヤニヤしながら遠巻きに眺めるばかり。やがて男性は自発的に選手用通路から退場していった。
何分突然のことで、カメラが間に合わなかったのが心底悔やまれる(悔やむなよ)。そして男性がコートにいた時よりも、むしろゲーム再開後に笑いが込み上げてきたのには困った。
Women's Doubles - 2nd Round
Serena Williams(USA)[10] / Venus Williams(USA)[10]
def. 森田あゆみ(JPN) / Martina Muller(GER)
6-3 6-3
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